こうやが詐欺師に騙された経緯

こんにちは。他称「こうやの彼女」のカナこと、里香です。

11月5日にしんやっちょさんとこうやの死の真相について解説する配信をしたのですが、リスナーさんたちから「理解しづらかった」というご意見が寄せられています。そこで、このブログでは配信を見てもわからなかった人のために、簡潔に説明していきたいです。リスナーさんたちの「真相を知りたい」という気持ちに少しでも応えられたら幸いです!

 

まず、私が最も伝えたかったこうやの詐欺被害について、概要を説明したいと思います。

 

こうやは今年の3月3日にひかるさんの誕生日会にて、自称不動産屋で実は詐欺師のSさんに出会いました。

部屋を借りたいけれど楽天カードがブラックで借りられないというこうやに、Sさんは「俺はやくざだから無理やり審査を通して、本人名義で部屋を借りられるようにしてあげる」と甘い言葉をかけました。こうやはとても喜びました。

3月15日、こうやは家の契約にかかるお金20万円をSさんに渡しました。

 

その頃、こうやは金銭トラブルをきっかけにアンチになったリスナーさん、マサイの戦士さんともめていました。支援金1万円を騙し取られたと怒り狂うマサイの戦士さんに、こうやはその1万円を返してトラブルを終わらせたつもりでした。しかし、マサイの戦士さんは「警察と弁護士に相談するからな!」と、その後もずっとこうやに粘着してきました。

 

その話を聞いた自称不動産屋で実は詐欺師のSさんは、このトラブルのネタを使った作り話を思いついたのです。

「マサイの戦士が警察に相談したせいで、警察から不動産会社に連絡が入った。このままだと入居する前に家を解約しなければいけなくなるかもしれない……。それでもなんとか、このまま契約できるように頑張るよ。」

この話を吹き込まれたのは、おそらく3月23日のことでした。

 

その後、こうやは酒と薬でラリった状態のとき、Sさんに呼び出されたのを忘れてすっぽかし、配信をしてしまいました。この失敗に漬け込まれることになります。

怒ったSさんは3月31日のたまちゃん一日店長の日のあと、こうやを呼び出して怒鳴りつけました。

「もう契約にかかった金は返せないからな!」

そう言われたけれど、こうやは自分のせいだと思って謝ることしかできませんでした。

このようにして、こうやは住んでもいない家の契約のお金と解約のお金をダブルでむしりとられることになったのでした。

 

それでも部屋を借りることを諦められなかったこうやは、またSさんに部屋探しを頼みました。そして今度こそ無事に新居が決まり、4月16日から入居しました。

 

4月になってから入居までに、こうやは50万円以上をSさんに渡しています。

しかし、Sさんは不動産屋でもなく、不動産仲介業者ですらありません。ただの詐欺師です。警察の捜査によれば「無職」で、こうやの住んでいたマンションの不動産屋さんによれば「仲介業者でもなんでもない、契約の時に付き添いできた友達」なのだそうです。

つまり、こうやの払ったお金は家の契約とは全く関係なくとられていたのです。

 

引っ越しに大金がかかってしまったけれど、これからは少しづつお金が増えていくだろう……。そう思われた矢先のことです。

 

Sさんはまだ懲りずにこうやから金を搾り取ろうと、新しい作り話を考えました。

「前の家の契約のときに警察から連絡がきた件で、不動産会社との訴訟問題に発展してる。裁判になると多額のお金がかかるから、示談金を払うしかないよ。」

Sさんはありもしない裁判の示談金40万円をこうやに請求しました。

さらに、「このことは誰にも言うな」と口止めされて、リスナーにも誰にも相談できず、こうやはこの悩みをひとりで抱え込んでしまいます。

 

引っ越しをしたばかりでお金がなかったこうやは、私にお金を貸してくれと頼んできました。5月7日に私から借りた10万円を、こうやはすぐにSさんに振り込みました。

「足りない分の30万円は立て替えてあげるね」とSさんに言われて、そこからこうやの借金地獄が始まることになります。

 

5月15日に3万円、5月21日に4万円、6月7日に4万円、6月13日に2万円……と、アイテムお金が稼げた分はすぐに、こまめにSさんに振り込んでいました。借金をどうにか返そうとするこうやの努力が感じられます。

そして6月18日に5万円を手渡し、ついに借金を完済しました。

それまで鬱状態だったこうやは、それから明るく元気になったはずでした。

 

ところがその後、26日にこうやは金銭苦を理由に自殺してしまいました。

遺言となった配信では、以下のように語っています。

「僕は真面目でした。少なくとも真面目でした。皆を楽しませようという配信を、しようとしてきました。でもお金の問題があってできませんでした。お金になる配信ばかりしてきました。それが僕の重罪です。」

 

このようにして100万円以上を騙し取られたこうやは、追い詰められて死んでしまいました。もしかすると、6月18日に借金を返したあとも、理由をつけてお金をせびられていたのかもしれません。

Sさんに出会っていなければ、お金の問題がなければ……今でもこうやは笑顔で配信者として活躍していたことでしょう。

こうやの死は、けして精神の病気や死への憧れで片づけてはいけない。

また、ほかの理由をつけて誰かのせいにしてもいけない。

確実に一番の原因になったのは、この許しがたい詐欺行為なのです!

 

そのことをリスナーさんたちには、よく理解していただきたいと思います。そして、配信という一見して夢のある世界に、こうした闇の人間が忍び込んでくるという現実について知ってほしいです。

 

概要はこんな感じです。詳しいことも引き続きブログに載せていく予定ですが、質問等あればお気軽にリプ、DM、質問箱に送ってください。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。里香でした。

 

 

行旅不明人

もし私が死んだら
お葬式はしないでください
家族と友達が泣きながら
花をもって参列なんて
やめてください
私の遺体は
あなたたちの物じゃない

私は行旅不明人
無縁仏でいいです
関係ない知らない人と
関係ない知らない場所に
とりあえず葬られて
なかったことにされたい

生きているときには
大切にされない命を
守れるうちに守られない尊厳を
永遠に失って
今更大切だったと
騒ぐだけの儀式は虚しい

もし私が死んだら
お墓は建てないでください
命日に思い出して祈ったり
花を持って墓参りなんて
やめてください
私の遺骨は
あなたたちの物じゃない

私は行旅不明人
無縁仏でいいです
焼かれて灰になった私を
ゴミのように捨ててほしい
排せつ物にように
トイレにでも流してほしい

生きているときには
大切にされない命を
守れるうちに守られない尊厳を
永遠に失って
今更大切だったと
でも死んだら仕方ないと
誰のせいでもないと
語るだけの儀式はいらない
寂しさなんて
悲しさなんて
涙なんて欲しくない

命より大切な
尊厳が欲しかった

ジェンダー逸脱と嗜癖

今日、『酒害者と回復活動』松下武志(2007)を読んでいて驚いた。なんと、アルコール依存症の夫の治療に非協力的な妻が多いのは、女性の職場進出の増大、夫婦平等意識の定着、個人主義的価値観の浸透が原因であり、女性の自立が推奨される時代になったせいで妻は夫に過度の自立を求めるようになったからなのだという。
たしか、5年前ほど前に読んだ『アルコホリズムの社会学』野口祐二(1996)では、「夫を支える妻」という女性役割に適応するために妻がわざと夫のアルコール依存の回復を拒み、のんだくれの夫に尽くすことによって自らの存在価値を確かめようとする無意識の共依存関係について書かれていた。妻の献身が、いつも夫の回復のためになるとは限らないはずだ。

興味深いのは、松下がこの女性の職場進出と夫婦平等意識を夫の治療への妻の非協力だけでなく、女性のアルコール依存症の原因としても指摘している点である。男性と同じ扱いをされることで女性も男性と同じ特有の病になるという指摘は、つまりは男性役割による苦悩がアルコール依存症を引き起こすと言いたいのだと読み替えられる。
しかし、松下は女性役割による苦悩もアルコール依存症を引き起こすということを、以下のようにはっきりと指摘している。「女性が家庭や社会の中で「女性役割」を上手にこなせないために生じる不快感、苦痛感、喪失感等を緩和しようとして精神安定剤のようにアルコールを常用し、精神的・肉体的にそれに依存するようになるパターンがみてとれる。」

つまり嗜癖の回復を阻むものは、女性の職場進出の増大、夫婦平等意識の定着、個人主義的価値観の浸透などではなく、ジェンダーそのものの呪縛なのである。
ジェンダー嗜癖と深い関わりがあり、ジェンダー逸脱によって嗜癖者は苦しみ、ますます嗜癖する。それゆえに男らしさ・女らしさへの自信の回復から当人が救われるということもあるだろうし、ジェンダーにとらわれないことを選択して救われることもあるだろう。

女性の職場進出の増大、夫婦平等意識の定着が原因で妻は夫に過度の自立を求めるようになった、という説は、「そのことで妻の協力が得られないと男として傷つく」から嗜癖してしまう、と読み替えられる。女性役割からの逸脱に苦しむ女性がアルコール依存症になるように、こうした男性役割からの逸脱を感じることは男性の嗜癖につながるということだ。夫婦平等意識が嗜癖の回復を妨げるなどという偏った説が生まれるのは、日本のアルコール依存症者の自助グループに参加する人のほとんどが男性であるためだろう。

実のところ、妻が夫の治療のための協力を拒む理由は、アルコール依存症者の家族もまた病んでいるということを否認したいからではないか。アルコール依存症者がその烙印を恐れて病を否認するように、家族も病を否認したいのではないか。まさに松下のいうように「家族の中でほんとうに病気なのは夫であり、ほかの家族は、少なくとも妻である自分は病気ではないという意識」がそこにあるのだ。
回復に携わる人間が、アルコール依存症者の妻に対して「回復治療に協力することが妻としての役割だ」などという意識を持てば、妻はますます病を否認し病にとりこまれていくだろう。そうした役割規範への不適応を自覚することこそが、人を嗜癖に追い込むのだ。彼女たちは今まで、尽くしても尽くしてもかえって夫の病を治すどころか無意識的に支えてきたことに気づいていない。献身的でないはずがない。日本の自助グループで妻が協力を拒むことが多く、家族ぐるみの治療が上手くいかないのも納得できる。